日本癌学会

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喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)

最終更新日:2026年4月16日New! 

日本癌学会喫煙対策委員会では、新型たばこを含め、喫煙とがんを始めとする健康にまつわる国内外の様々な研究結果について、注目すべき参考文献を定期的に1~2編ずつ紹介していく取り組みを始めました。ここに紹介する研究論文は、がん予防・がん医療に対するインパクトの強さ、社会的インパクトをはじめ、最新の健康・医療にまつわるトピックスなども参考に選択しています。

【参考文献36】喫煙による獲得免疫の持続性の変化

タイトル:Smoking changes adaptive immunity with persistent effects
著 者:Saint-André V, Charbit B, Biton A, Rouilly V, Possémé C, Bertrand A, Rotival M, Bergstedt J, Patin E, Albert ML, Quintana-Murci L, Duffy D, Milieu Intérieur Consortium
雑誌名:Nature. 2024 Feb;626(8000):827-835
リンク:https://www.nature.com/articles/s41586-023-06968-8

【文献の紹介文】

免疫系は、大きく自然免疫と獲得免疫に分けられ、自然免疫は生まれつき持っている免疫系で、獲得免疫はさまざまな抗原に出会うことによって身につく免疫系になります。この研究はフランスのパスツール研究所において行われているMilieu Intérieur(内部環境)projectというヒト免疫システムの遺伝学的および環境要因による変化を調べるプロジェクトにより行われました。1,000人の研究参加者の血液検体に対して免疫刺激を行い、サイトカインを測定して免疫反応を解析しています。その結果、喫煙は自然免疫、獲得免疫両方に変化をもたらし、自然免疫では炎症性サイトカインの上昇が見られました。また、獲得免疫の変化は禁煙後も長期間持続しており、その長期に原因として特定のシグナル活性化に関わる遺伝子の低メチル化が原因となっていると報告しました。

【紹介者コメント】

喫煙によるゲノム異常の蓄積による発がん機序については、近年の大規模なゲノム解析により明らかになってきていますが、ゲノム異常以外による発がん機序や直接煙に暴露されない臓器における発がん機序については十分に明らかになっていません。本研究は喫煙によりDNAメチル化状態の変化や、免疫システムの変化が起こっていることを示し、喫煙が免疫反応への影響により発がんにつながっている可能性を示しています。

担当委員:吉田 健一 (国立がん研究センター研究所 がん進展研究分野)

過去の参考文献

  • 参考文献35:タバコ1本の喫煙で、寿命が20分短縮
  • 参考文献34:乳がんリスクと喫煙について
  • 参考文献33:受動喫煙と肺がんの関連をはじめて示した論文
  • 参考文献32:加熱式タバコは禁煙する助けにはならない
  • 参考文献31:禁煙が早ければ 肺癌の生存期間が延長
  • 参考文献30:受動喫煙の誤分類問題に終止符を打った論文
  • 参考文献29:喫煙はDNAのメチル化を通じてがんをはじめとする様々な病気のリスクを上げる
  • 参考文献28:ヒトのがんに見られる喫煙による変異シグネチャー
  • 参考文献27:頭頸部がん診断後の禁煙は治療効果を改善し長期生存をもたらす
  • 参考文献26:日本のたばこ対策の進捗状況に応じた喫煙率・死亡率の予測
  • 参考文献25
  • 参考文献24
  • 参考文献23
  • 参考文献22
  • 参考文献21
  • 参考文献20
  • 参考文献19
  • 参考文献18:肺がん罹患後の禁煙による生存率改善は、禁煙のがん進行抑制効果による
  • 参考文献17:喫煙はがん以外にも多くの疾患のリスクと関連している
  • 参考文献16:日本における喫煙による年間死亡者数は女性37,000人、男性162,000人
  • 参考文献15:喫煙により頭頸部がんのリスクは10倍に上がる
  • 参考文献14:少量の喫煙でも頭頸部がんのリスクは上昇する
  • 参考文献13:加熱式たばこの利用により血液細胞のDNAのメチル化パターンが変わる
  • 参考文献12:喫煙は死亡率を高め、禁煙はそのリスクを下げる:英国医師の追跡調査
  • 参考文献11:がん診断前後に禁煙した人は、継続喫煙した人よりも二回目のがん罹患リスクが低い
  • 参考文献10
    2022年2月にCancer Scienceに掲載されたJCA会員に実施した喫煙状況調査に関するレポート
  • 参考文献9:加熱式たばこ、紙巻きタバコを両方吸う人は、呼吸機能の低下が多い
  • 参考文献8:喫煙はがん、呼吸器疾患等による死亡の大きな原因:アジア人100万人追跡調査
  • 参考文献7:ニコチン入り電子タバコはニコチン置換療法よりも禁煙率が高かった
  • 参考文献6:日本人のがんによる死亡の原因の24.1%がタバコである
  • 参考文献5:喫煙で気管支の細胞における遺伝子変異の数が増加する
  • 参考文献4:肺腺がんリスクは受動喫煙で増加する:日本人非喫煙女性の追跡研究
  • 参考文献3:加齢による食道粘膜上皮の遺伝子変異は、大量喫煙・飲酒で更に増加する
  • 参考文献2:がんと診断された後の禁煙の臨床的な意義を再考せよ
  • 参考文献1:肺癌患者におけるCOVID-19感染で、喫煙量が多いと死亡率が高まる
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