喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献11】|学会概要|日本癌学会

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喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献11】

最終更新日:2023年4月4日 

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タイトル: Tobacco smoking and the risk of subsequent primary cancer among cancer survivors: a retrospective cohort study.
著者: Tabuchi T, Ito Y, Ioka A, Nakayama T, Miyashiro I, Tsukuma H.
雑誌名: Ann Oncol. 2013; 24(10): 2699-704
リンク: https://www.annalsofoncology.org/article/S0923-7534(19)37097-8/fulltext

【文献の紹介文】

この論文では、大阪国際がんセンター(旧:大阪府立成人病センター)院内がん登録資料と大阪府地域がん登録資料をリンケージすることにより、1985年~2004年に第一がんと診断された大阪府在住の29,795名において診断時の喫煙状況と2006年12月31日までの続発がん罹患(特定の部位別続発がん、タバコ関連部位の続発がん、そして全部位続発がんの3分類)のリスクをPoisson回帰モデルにより分析しています。
 過去喫煙者(診断時現在喫煙者および止めた者)では、非喫煙者に比べて、全部位の続発がん罹患が59%多く、タバコ関連部位の続発がん罹患が102%多くなっていました。また過去3年以内に禁煙した者(最近禁煙者)では、診断時現在喫煙者と比較して、全部位の続発がん罹患が18%少なく、タバコ関連部位の続発がん罹患が26%少なくなっていました。特定の部位別続発がん罹患のリスクをみると、過去喫煙者は喫煙未経験者(非喫煙者)と比べて、口腔・咽頭、食道、胃、肺、血液において有意に高い続発がん罹患リスクを呈していました。
 喫煙ががんを著しく増加させることはかねてより明らかな事実ですが、喫煙はがん患者全体における続発がん罹患を有意に増加させることが明らかになりました。診断時現在喫煙者と最近禁煙者を比較した結果からは、禁煙すると続発がん(特にタバコ関連部位の続発がん)の罹患リスクを減少させることができるものと考えられました。がんサバイバーにおける続発がん罹患の予防のためにも、禁煙支援等の効果的なタバコ対策の推進が求められます。

 

【紹介者コメント】

手前味噌で恐縮ですが、我々の2013年の論文を紹介させていただきました。これまでの先行研究は肺がんなどの特定の部位に特化した分析に偏重しており、がん患者全体の禁煙推進につながるエビデンスとはなっていませんでした。本研究により、喫煙はがん患者全体における続発がんの罹患を有意に増加させると分かり、すべてのがん患者において禁煙支援を進めることが重要だと言えます。

担当委員:田淵 貴大 (大阪国際がんセンター がん対策センター 疫学統計部)

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