理事長あいさつ|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

学会概要

理事長あいさつ

最終更新日:2023年9月27日 

ご挨拶


一般社団法人 日本癌学会
間野 博行

 一般社団法人日本癌学会理事長の間野博行でございます。一言ご挨拶を申し上げます。日本癌学会は80年以上の歴史と13,000人を越える会員数を誇る、我が国有数のがん専門の学術団体であり、「がん研究の発達に貢献」することで「国民の健康と福祉に寄与する」ことを目的としています。(括弧内日本癌学会定款より)

 日本癌学会では、我が国におけるがん研究の進展を最も重要な使命と考えていますが、がんの研究と医療とはかつて無いほど近づいてまいりました。がんの基礎研究の成果が数年後には診断法・治療法に具現化し、また、薬剤耐性となったがん細胞の解析から新しい治療薬が誕生することも現実となっています。特にがんゲノム医療が日本において2019年から国民皆保険の下で開始されたことはエポックメイキングな出来事で、研究と医療が双方向性に直結する時代となりました。また、この実現のためには日本癌学会会員の貢献も非常に大きなものでした。さらにはゲノム解析の進歩によって、一見正常に見える我々の臓器・血液細胞の一部が、後天的ゲノム変異を有する細胞によるモザイク状となっていることも明らかになりつつあります。このような研究が進むと、がん予防の在り方も大きく変わっていくと予想されます。急速に変化する世界のがん医療・がん予防を日本のがん研究者がリードするべく、日本癌学会は幅広いがん研究をサポートしてまいります。

 日本癌学会は毎年秋に学術総会を開催します。これは5000人近くの研究者が集う、いわば我が国におけるがん研究の祭典で、極めて基礎的ながん研究の成果から最新の臨床試験まで紹介し、アカデミア・企業・患者会の皆様との交流の場となることを目指しています。日本癌学会は、若手研究者の活躍を促進し、さらには若手研究者が最新の技術を学ぶ場も提供することを行ってまいります。また、優れた業績を挙げた研究者を、吉田富三賞、長與又郎賞、奨励賞をはじめとする様々な賞で顕彰いたします。

 国際的な連携も、日本癌学会の大きな使命です。第66回学術総会よりインターナショナルセッションを設け、主にアジア・オセアニア地域のがん研究者との交流を支援しています。さらには米国癌学会(American Association for Cancer Research: AACR)とも様々な形での連携を行っており、2年に一度のJCA-AACR Special Joint Conference、新しく始まったJCA-AACR Precision Cancer Medicine International Conference、さらには3年に一度ハワイで開催する日米癌合同会議など、研究者間の国際交流を図る重要な場となっています。またAACR Annual MeetingでのAACR-JCA Joint Session、日本癌学会学術総会でのJCA-AACRジョイントシンポジウムも毎年開催されており、重要なテーマについて最新の知見を紹介しています。新型コロナウィルス感染も一段落した今、国際連携も積極的に行っていきたいと思います。

 Cancer Scienceは、1907年に山極勝三郎博士により創刊された世界で最も古いがん専門誌の一つである「癌」(GANN)を本学会が受け継いだものです。その後、GANNはJapanese Journal of Cancer Researchと改名され、2005年からはCancer Scienceとして現在に至っています。2014年からはフルオープンアクセスジャーナルとなり、海外からのダウンロード数も急速に増えるなど発展を続けています。本誌のImpact Factorも高いレベルを維持しており、2022年は5.7でした。本誌は畠山昌則編集長のご尽力のもとで躍進を続けており、名実ともに優れた国際学術誌となっています。

 このように日本癌学会は幅広い活動を通して、日本のがん研究を支援しています。未来のがん医療を創るのはがん研究です。世界のがん研究・がん医療の進歩に日本のがん研究が最大限に貢献するべく、会員の皆様方と共に精一杯努力する所存です。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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