理事長挨拶|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

学会概要

理事長挨拶

最終更新日:2025年3月25日 

ご挨拶


一般社団法人 日本癌学会
理事長 大島  正伸

日本癌学会は、80年を超える歴史と、約13,000名の会員を擁する、我が国有数のがん研究に関わる学術団体です。本学会は、がん研究を通じてがん克服を実現し、国民の健康と福祉に貢献することを目的としています。

現在、日本では二人に一人ががんに罹患する時代を迎えており、平均寿命の延伸に伴い、その罹患数は今後も増加すると予想されます。したがって、がんの予防、診断、および治療法の開発は、社会的にも極めて重要な課題となっています。本学会では、がんの本態解明を目指す基礎研究、革新的な治療法の開発を目的としたトランスレーショナルおよび臨床研究、さらにはがん診療に従事する医療者が会員として参画し、幅広い視点からがん研究を推進しています。

近年のゲノム研究の進展により、発がん機構が分子レベルで理解されるようになり、その知見を基盤とした新たな分子標的薬の開発が進められてきました。また、がん免疫制御機構に関する研究により、免疫チェックポイント阻害薬や細胞療法などの革新的な治療法も登場しています。さらに、核酸医薬やタンパク質標的薬、新たなドラッグデリバリーシステムなどの新規モダリティの開発、および医療用RIを用いた治療法の応用が進むことで、がん治療の可能性はますます広がっています。これらはすべて、がん研究が革新的治療法を生み出す原動力となっている証でもあります。

こうした研究の推進には、多様な専門性や経験を有する研究者同士の交流、情報共有、そして共同研究が不可欠です。日本癌学会では、毎年1回、学術総会を開催しており、4,000名を超えるがん研究者、創薬研究者、医療従事者などが参加し、最新の研究成果を発表・共有する場を提供しています。この学術総会では、多くのシンポジウムを英語で開催しており、アジア・オセアニア諸国からも400名を超える参加者が集うなど、国際的ながん研究の発展にも貢献する重要な機会となっています。

また、本学会では最新の研究成果を世界に発信するために、学術機関誌「Cancer Science」を刊行しています。これは、1907年に山極勝三郎博士が創刊した、世界で最も古いがん研究専門誌「癌(GANN)」を継承するものであり、現在ではオープンアクセスジャーナルとして、国際的にも高く評価されています。海外からのダウンロード数も急増しており、日本発の研究成果が広く世界に届いています。

さらに、国際的ながん研究の進展を見据え、私たちは米国癌学会(American Association for Cancer Research: AACR)とも多面的に連携しています。たとえば、毎年、海外から最先端の研究者を招聘し、日本癌学会とAACRのジョイントシンポジウムを国内で開催しています。また、3年に一度、日米癌合同会議をハワイで実施するなど、国際交流を通じた研究ネットワークの構築にも力を入れています。今後もこのような国際連携をさらに推進していく所存です。

最後に、日本癌学会は、これまでに蓄積された知を次世代に継承し、将来のがん研究を担う若手研究者の育成を重要な使命と位置づけ、さまざまな取り組みを行っています。若手研究者の皆さんが、がん研究の世界に魅力を感じ、社会的使命感を持って、次世代の治療法開発に挑戦していくことこそが、未来のがん克服につながると確信しています。

このような活動を通じて、日本癌学会は、我が国および世界のがん研究・がん医療の発展に貢献すべく、会員の皆さまとともに努力を重ねてまいります。今後とも、日本癌学会の活動に対し、皆さまのご理解とご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

一般社団法人日本癌学会
理事長 大島 正伸

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