喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

学会概要

喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)

最終更新日:2025年4月15日 

日本癌学会喫煙対策委員会では、新型たばこを含め、喫煙とがんを始めとする健康にまつわる国内外の様々な研究結果について、注目すべき参考文献を定期的に1~2編ずつ紹介していく取り組みを始めました。ここに紹介する研究論文は、がん予防・がん医療に対するインパクトの強さ、社会的インパクトをはじめ、最新の健康・医療にまつわるトピックスなども参考に選択しています。

【参考文献34】乳がんリスクと喫煙について

タイトル:Dose-response Relationships Between Cigarette Smoking and Breast Cancer Risk: A Systematic Review and Meta-analysis
著 者:Marco Scala, , Cristina Bosetti, Vincenzo Bagnardi, Irene Possenti, Claudia Specchia, Silvano Gallus, Alessandra Lugo
雑誌名:J Epidemiol 2023;33(12):640-648
リンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36967121/

【文献の紹介文】

この研究は、2020年1月までに公表されたすべての観察研究を対象として、システマティックレビューやメタアナリシスといった研究を要約する方法を用い、喫煙と乳がんリスクとの関連性について検討したものです。結果は、たばこを吸わない人に対し、現在喫煙している人は1.07倍、過去に吸っていた人は1.08倍、乳がんのリスクが増加することが示されました。また、たばこの本数や喫煙期間が増加するにつれて、乳がんリスクも増加する傾向が見られました。

【紹介者コメント】

これまでにも、乳がんと喫煙との関連はたくさん調べられていて、関連があることは確かであるとされていました。この論文は、これまでの結果に、最新の論文を加えて解析しなおしたものです。特徴として、乳がんリスクに関連する遺伝子変異やホルモン感受性といった、乳がんの種類毎にも関連を調べています。それぞれの研究が少なかったために、統計的に有意ではありませんでしたが、どの種類の乳がんでも同じ程度の喫煙との関連が見られました。なお、日本乳癌学会の乳がん診療ガイドライン2022年版では、システマティックレビューの結果、喫煙が乳がん発症リスクを増加することはほぼ確実、受動喫煙により乳がん発症リスクが増加することも可能性がある、としています。

担当委員:山本 精一郎 (静岡社会健康医学大学院大学)

過去の参考文献

  • 参考文献33:受動喫煙と肺がんの関連をはじめて示した論文
  • 参考文献32:加熱式タバコは禁煙する助けにはならない
  • 参考文献31:禁煙が早ければ 肺癌の生存期間が延長
  • 参考文献30:受動喫煙の誤分類問題に終止符を打った論文
  • 参考文献29:喫煙はDNAのメチル化を通じてがんをはじめとする様々な病気のリスクを上げる
  • 参考文献28:ヒトのがんに見られる喫煙による変異シグネチャー
  • 参考文献27:頭頸部がん診断後の禁煙は治療効果を改善し長期生存をもたらす
  • 参考文献26:日本のたばこ対策の進捗状況に応じた喫煙率・死亡率の予測
  • 参考文献25
  • 参考文献24
  • 参考文献23
  • 参考文献22
  • 参考文献21
  • 参考文献20
  • 参考文献19
  • 参考文献18:肺がん罹患後の禁煙による生存率改善は、禁煙のがん進行抑制効果による
  • 参考文献17:喫煙はがん以外にも多くの疾患のリスクと関連している
  • 参考文献16:日本における喫煙による年間死亡者数は女性37,000人、男性162,000人
  • 参考文献15:喫煙により頭頸部がんのリスクは10倍に上がる
  • 参考文献14:少量の喫煙でも頭頸部がんのリスクは上昇する
  • 参考文献13:加熱式たばこの利用により血液細胞のDNAのメチル化パターンが変わる
  • 参考文献12:喫煙は死亡率を高め、禁煙はそのリスクを下げる:英国医師の追跡調査
  • 参考文献11:がん診断前後に禁煙した人は、継続喫煙した人よりも二回目のがん罹患リスクが低い
  • 参考文献10
    2022年2月にCancer Scienceに掲載されたJCA会員に実施した喫煙状況調査に関するレポート
  • 参考文献9:加熱式たばこ、紙巻きタバコを両方吸う人は、呼吸機能の低下が多い
  • 参考文献8:喫煙はがん、呼吸器疾患等による死亡の大きな原因:アジア人100万人追跡調査
  • 参考文献7:ニコチン入り電子タバコはニコチン置換療法よりも禁煙率が高かった
  • 参考文献6:日本人のがんによる死亡の原因の24.1%がタバコである
  • 参考文献5:喫煙で気管支の細胞における遺伝子変異の数が増加する
  • 参考文献4:肺腺がんリスクは受動喫煙で増加する:日本人非喫煙女性の追跡研究
  • 参考文献3:加齢による食道粘膜上皮の遺伝子変異は、大量喫煙・飲酒で更に増加する
  • 参考文献2:がんと診断された後の禁煙の臨床的な意義を再考せよ
  • 参考文献1:肺癌患者におけるCOVID-19感染で、喫煙量が多いと死亡率が高まる
Share on Facebook Twitter LINE
このページの先頭へ