喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

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喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)

最終更新日:2025年1月24日 

日本癌学会喫煙対策委員会では、新型たばこを含め、喫煙とがんを始めとする健康にまつわる国内外の様々な研究結果について、注目すべき参考文献を定期的に1~2編ずつ紹介していく取り組みを始めました。ここに紹介する研究論文は、がん予防・がん医療に対するインパクトの強さ、社会的インパクトをはじめ、最新の健康・医療にまつわるトピックスなども参考に選択しています。

【参考文献32】加熱式タバコは禁煙する助けにはならない

タイトル:Heated tobacco products do not help smokers quit or prevent relapse: a longitudinal study in Japan
著 者:Odani S, Tsuno K, Agaku IT, Tabuchi T.
雑誌名:Tobacco Control誌 2024;33:472–480. doi: 10.1136/tc-2022-057613
リンク:https://tobaccocontrol.bmj.com/content/early/2023/02/26/tc-2022-057613

【文献の紹介文】

今回の文献紹介では、私が研究代表者を務めさせていただいているインターネット調査プロジェクトからの研究成果を共有させていただきます。日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクトJASTIS研究(the Japan Society and New Tobacco Internet Survey)では、毎年1-3月に日本全国の男女約1-3万人(主に18-69歳;2021年以降は主に18-79歳)を対象として社会経済状況、健康行動や健康関連アウトカムなど約500項目の調査を実施しています。本研究では、日本の20歳以上の男女延べ約7000人を2019年から2021年まで追跡したところ、追跡開始時点で紙巻きタバコを吸っていた人の割合は17.2%、加熱式を吸っていた人の割合は9.1%、紙巻きと加熱式を併用していた人の割合は6.1%でした。
紙巻きタバコを吸っていた人における加熱式タバコの使用が及ぼす影響を分析したところ、どんな人でも加熱式タバコを使用することで禁煙しやすくなるということはないと分かりました。「禁煙治療など有効な禁煙法を試したことがある」「1日20本以上紙巻きタバコを吸う」「学歴が高卒以下」「健康状態が良くない」という人の場合、1カ月以上の禁煙に失敗しやすいとの結果でした(統計学的有意差あり)。
また、紙巻きタバコをいったんやめた人が再び紙巻きタバコを吸うようになる割合は加熱式タバコを使った場合、使わない場合より1.4倍多かったと分かりました。
加熱式タバコからはホルムアルデヒドなどの発がん性物質や依存症の原因となるニコチンが発生し、世界保健機関(WHO)は従来のタバコ製品と同じ規制が必要だとの見解を示しています。

【紹介者コメント】

加熱式タバコに手を出すと禁煙しにくくなります。幸福・健康のためにはタバコの種類を変えるのではなく、全てのタバコをやめることをお勧めします。
JASTIS研究WEBサイト:https://jastis-study.jp/

担当委員:田淵 貴大 (東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野)

過去の参考文献

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