喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

学会概要

喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介)

最終更新日:2023年9月27日 

日本癌学会喫煙対策委員会では、新型たばこを含め、喫煙とがんを始めとする健康にまつわる国内外の様々な研究結果について、注目すべき参考文献を定期的に1~2編ずつ紹介していく取り組みを始めました。ここに紹介する研究論文は、がん予防・がん医療に対するインパクトの強さ、社会的インパクトをはじめ、最新の健康・医療にまつわるトピックスなども参考に選択しています。

【参考文献24】

タイトル:Use of heated tobacco products by people with chronic diseases: The 2019 JASTIS study
著 者:Chikako Nakama, Takahiro Tabuchi (中間千香子、田淵貴大)
雑誌名:PLoS One誌 2021 Nov 18;16(11):e0260154.
            doi:10.1371/journal.pone.0260154. eCollection 2021.
リンク:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0260154
Pubmedリンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34793517/

【文献の紹介文】

手前味噌で恐縮ですが、今回の文献紹介では、私が研究代表者を務めさせていただいているインターネット調査プロジェクトからの研究成果を共有させていただきます。本研究では、癌も含めた慢性疾患がある患者さんの多くが加熱式タバコを使うようになっている実態を報告しました。日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクトJASTIS研究(the Japan Society and New Tobacco Internet Survey)では、毎年1-3月に日本全国の男女約1~3万人(主に18-69歳;2021年以降は主に18-79歳)を対象として社会経済状況、健康行動や健康関連アウトカムなど約500項目の調査を実施しています。本研究では、2019年の調査に回答した5-73歳の男女9,008人のデータを用いて、がん、循環器疾患、COPD、糖尿病などの持病がある者における加熱式タバコ使用状況を分析しました。30日以内に加熱式タバコを使用した者の割合は、癌患者で17.5%、循環器疾患患者で19.2%、COPD患者で40.5%、糖尿病患者で15.9%でした。

【紹介者コメント】

2019年の日本人成人における加熱式タバコ使用割合は12%弱でした(Hori et al. 2020;https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32503900/ ) から、むしろ持病がある者の方が、加熱式タバコの使用割合が高くなっていることが分かりました。加熱式タバコからも紙巻きタバコと同等の多くの種類の発がん性物質が発生していると分かっていますし、紙巻タバコと同様に健康リスクがあるものと考えられます。本研究結果から、癌も含めた持病のある方に対して加熱式タバコ問題を啓発する必要があるものと考えられます。
JASTIS研究WEBサイト:https://jastis-study.jp/

担当委員:田淵 貴大 (大阪国際がんセンター がん対策センター 疫学統計部)

過去の参考文献

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