喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献18】|学会概要|日本癌学会

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喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献18】

最終更新日:2023年4月4日 

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タイトル: Influence of smoking cessation after diagnosis of early stage lung cancer on prognosis: systematic review of observational studies with meta-analysis
著者: A Parsons, A Daley, R Begh, P Aveyard
雑誌名: BMJ 2010;340:b5569
リンク: https://www.bmj.com/content/340/bmj.b5569.long

【文献の紹介文】

「CINAHL」(1981年-)、「Embase」(1980年-)、「Medline」(1966年-)、「Web of Science」(1966年-)、「CENTRAL」(1977年-)から2008年12月までの間の報告からメタ解析とシステマティックレビューを行い、肺がん診断後の禁煙が予後に与える影響について検討されました。
〇喫煙を継続することにより、
-早期非小細胞肺がんの全死亡率 2.94倍(95%CI:1.15-7.54)
-再発 1.86倍(95%CI:1.01-3.41)
-限局型小細胞肺がんの全死亡率 1.86倍(95%CI:1.33-2.59)
-2次原発がん発生 4.31倍(95%CI:1.09-16.98)
-再発 1.26倍(95%CI:1.06-1.50)
と有意なリスク増加に関連していました。
〇65歳以上の早期非小細胞肺がん症例の5年生存率は
-喫煙継続群:33%
-禁煙群:70%
と推定されました。
〇限局型小細胞肺がんの5年生存率は
-喫煙継続群:29%
-禁煙群:63%
と推定されました。
〇この生命表モデリングからは禁煙後の心疾患や肺疾患の死亡の減少から予測される数よりも多いため、禁煙による死亡率の減少はがんの進行の抑制による可能性が高いと考えられます。本研究の結果からは、早期肺がんの症例に禁煙治療を行うことは予後改善のためにも有益である可能性があることを示しています。

【紹介者コメント】

実際に臨床の現場でも「がん」を診断されると「もうがんになったんだから、タバコやめても意味ないんでしょ?」と言って喫煙を続ける患者さんを時折お見掛けします。治療選択肢が増えてがんの予後も少しずつ改善されてきた今の時代において、「がん」と診断されても悲観し過ぎることのないようにお話ししていきます。本研究からもがん診断後にタバコを吸い続けていると、禁煙した人に比べて死亡率が約3倍上がることを念頭に置いて癌治療と共に禁煙にも介入すべきと考えます。

担当委員: 田中 希宇人 (日本鋼管病院呼吸器内科)

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