喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献17】|学会概要|日本癌学会

日本癌学会

学会概要

喫煙のがんを始めとする健康に関する情報発信【参考文献17】

最終更新日:2023年3月10日 

参考文献インデックスへ戻る  

タイトル: Health effects associated with smoking: a Burden of Proof study
著者: Dai X, Gil GF, Reitsma MB, Ahmad NS, Anderson JA, Bisignano C, Carr S, Feldman R, Hay SI, He J, Iannucci V, Lawlor HR, Malloy MJ, Marczak LB, McLaughlin SA, Morikawa L, Mullany EC, Nicholson SI, O'Connell EM, Okereke C, Sorensen RJD, Whisnant J, Aravkin AY, Zheng P, Murray CJL, Gakidou E.
雑誌名: Nature Medicine. 2022 Oct;28(10):2045-2055. doi: 10.1038/s41591-022-01978-x.
リンク: https://www.nature.com/articles/s41591-022-01978-x

【文献の紹介文】

この論文では、1970年から2022年に発表された793報の論文の統合的解析(メタ解析)により過去に喫煙と関連付けられていた36健康状態との関連について再解析を行いました。その結果、喉頭がん、大動脈瘤、末梢動脈疾患、肺がん、咽頭がん(以上が非常に強い)、慢性閉塞性肺疾患、下気道感染、膵臓がんが非常に強いあるいは強い喫煙によるリスクの増加を示しました。喫煙量との関連については、喫煙量の増加とともにリスクが増加するものの、中等度から高度の喫煙量では喫煙量の増加によるリスクの増加は減少していました。さらに、結核、食道がん、子宮頸がん、多発性硬化症、関節リウマチ、背部痛、虚血性心疾患、消化性潰瘍、黄斑変性、パーキンソン病、胃がん、2方糖尿病、白内障(以上が中等度)、鼻咽頭がん、アルツハイマー病及び他の痴呆症、胆嚢疾患、心房細動・粗動、口唇・口腔がん、乳がんが中等度から弱い関連を示しました。一方、今回の解析では大腸がん、腎臓がん、白血病、骨折、前立腺がん、肝臓がん、気管支喘息については喫煙と有意な関連は認められませんでした。

【紹介者コメント】

本研究はGlobal Burden of Diseases, Risk Factors, and Injuries Study (GBD) 2020の一環として、証明責任リスク関数(BPRF)という新しいメタ解析の方法を用いて高血圧、野菜摂取、未加工赤肉摂取とともに喫煙の疾患の関連について解析したもので、喫煙とがんや他の疾患との関連が改めて示されました。今後、喫煙によりこれらの疾患のリスクが高まる原因についてさらなる研究が必要であると考えられます。

担当委員: 吉田 健一 (国立がん研究センター 研究所)

参考文献インデックスへ戻る

Share on Facebook Twitter LINE
このページの先頭へ