日本癌学会

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飲酒とがんについて ― 科学的エビデンスを踏まえた理解のために

最終更新日:2026年2月10日New! 

令和8年2月9日

がんの予防は、私たち一人ひとりの生活習慣と深く関わっています。近年、国際的な研究の積み重ねにより、飲酒ががんのリスクを高める要因であることが、科学的に明確になってきました。世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、飲酒を「ヒトに対して発がん性がある」と評価しています。これは、飲酒が口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓(肝細胞がん)、大腸、乳房など、複数のがんの罹患リスクを高めることが、多くの研究で示されているためです。

重要な点は、飲酒量が増えるほど、がんのリスクも高くなるということです。また、これまでの研究から、「ここまでなら安全」と言い切れる飲酒量は明らかになっておらず、少量の飲酒でもがんのリスクが高まることが知られています。特に日本人では、体質的にお酒に弱い方(遺伝的にアルコールを分解しにくい方)が一定数おり、より配慮が必要となります。

これまでの研究により、飲酒量を減らすことで、がんを含むさまざまな疾患へのリスクを下げられる可能性が示されています。私たちひとりひとりが、飲酒は「がんのリスク因子の一つ」であることを正しく知り、自分自身の体質や年齢、性別、既往歴などを踏まえて飲酒量を考え、そして、飲酒について「知る」「考える」「選べる」環境づくりを進めていくことが大切です。

日本癌学会は、「飲酒とがん」について、国民の皆さまが納得して健康的な選択を行えるための正しい情報の発信を行ってまいります。

[飲酒とがんに関する情報]

1.公的機関による報告書・ガイドライン
1.1.  IARC(国際がん研究機関)「Alcohol, A major preventable cause of cancer」
https://www.iarc.who.int/wp-content/uploads/2025/10/IARC_Evidence_Summary_Brief_6.pdf

1.2. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html

2.  日本人を対象とした疫学研究
2.1. 飲酒の発がんリスク
https://epi.ncc.go.jp/cgi-bin/cms/public/index.cgi/nccepi/can_prev/outcome/index
(要因の「お酒」にチェックを入れて、「この条件を検索」を押下してください)

2.2. 疫学研究結果に基づくがん予防法
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/93/9507.html#suisho2

2.3. 体質が与える飲酒による発がんへの影響

2.3.1 お酒に弱い体質の方の飲酒による発がんの危険性について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8498.html

2.3.2 10年間で頭頚部食道がんに罹患する確率について―飲酒とアルデヒド脱水素酵素遺伝子の多型を考慮した予測モデルの構築
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8502.html

2.3.3 アルコール誘発性消化管がんの発がんメカニズムの臓器間差
https://cancer-c.pref.aichi.jp/wp/wp-content/uploads/r20401.pdf

2.3.4 ALDH2 rs671遺伝型層別GWASメタ解析により明らかとなった日本人の飲酒行動の遺伝的構造とその食道がんリスクへの影響
https://jmicc.com/plus/?p=1359

3.  ゲノム網羅的解析:アルコールがもたらす遺伝子変異の蓄積
3.1 日本人の胃がんリスクとなる遺伝的背景と生活習慣:人種横断的大規模胃がんゲノム解析の成果
https://www.amed.go.jp/news/release_20200507.html

3.2 国際共同研究による食道がん全ゲノム解析: 日本人食道がんに特徴的な発がんメカニズムを発見
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/1027/index.html

3.3 世界最大の胃がんゲノム解析により日本人胃がんの治療標的を同定: 飲酒との関連もゲノム解析から初めて発見し新たな予防法の開発が期待
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0314_1/index.html

3.4 頬粘膜における体細胞モザイクの解明と安全で正確な食道がん予測モデルの構築―頬粘膜の体細胞モザイクは食道扁平上皮がんの生活習慣や遺伝子多型リスクを反映する―
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-05-02-0

4.  遺伝子改変動物を用いた発がん研究
4.1 飲酒により食道がんが多発する機序の解明―食道発がんに重要な3因子の同定―
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-02-14-1

一般社団法人 日本癌学会

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