省庁からのおしらせ等
抗がん剤併用療法等に係る適正使用の推進について
医政発第0121005号
薬食発第0121005号
平成17年1月21日
各国公私立大学医学部長・附属病院長殿
各国立高度医療センター総長・病院長殿
各日本医学会加盟学会代表者殿
厚生労働省医政局長
厚生労働省医薬食品局長
抗がん剤の併用療法等による適応外使用については、「がん」が、生命にかかわる重篤な疾患であることから、国内外において有効性及び安全性に関する根拠がある抗がん剤に関して、その適応追加の承認申請及び審査を迅速かつ円滑に行わせることができるよう、平成16年1月に「抗がん剤併用療法に関する検討会」を医政局及び医薬食品局において設置し、その有効性及び安全性に関する根拠情報を速やかに収集することとしたところです。
「抗がん剤併用療法に関する検討会」においては、抗がん剤の併用療法等に係る有効性及び安全性に関する根拠情報の取扱い等について審議を行ってきたところですが、別記の抗がん剤併用療法等に関し、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、当該検討会で収集した有効性及び安全性に関する情報が一定の根拠として適当であると評価されました。
ついては、貴学会におかれましても、別記の抗がん剤の併用療法等に関し、その適正使用の推進を通じた安全確保にご理解いただき、下記の点についてご協力いただけますよう、よろしくお願いします。
なお、本通知の発出により、平成16年8月27日付け医政発第0827007号・薬食発第0827006号厚生労働省医政局長・厚生労働省医薬食品局長通知「抗がん剤併用療法等に係る適正使用の推進について」は廃止します。
記
- 第1 副作用情報の報告等について
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- 別記の抗がん剤の併用療法等については、今後、関係企業により薬事法上の効能・効果、用法・用量に係る承認事項の一部変更承認申請が行われる予定ですが、現時点においては未だ厚生労働大臣による承認は行われていないため、承認取得までの間は、各医療機関及び医薬関係者の責任において当該併用療法等が行われるべきである点についてご注意願います。
- また、別記の抗がん剤の併用療法等については、別添の都道府県知事あて厚生労働省医政局長及び医薬食品局長連名通知により、患者の安全確保を第一に考え、治療に伴い想定される死亡等を可能な限り未然に防ぐための適正使用の確保が重要であることから、次のような注意喚起を行っていますので、貴学会会員への周知徹底をお願いします。
- (1)国立・公立がんセンター、特定機能病院、地域がん拠点病院など緊急時に適正な処置が可能であって、がん化学療法に知識・経験を有する医師が在籍する医療機関で使用されるべきものであること。
- (2)医療関係者においては、重篤な副作用を知った場合には、遅滞なく関係企業又は厚生労働省医薬食品局安全対策課に報告すべきものであること。また、抗がん剤併用療法等を実施した医療機関においては、その症例の全数把握に努めるべきであること。
- (3)抗がん剤併用療法等の実施者においては、抗がん剤併用療法等に係る抗がん剤の使用上の注意等を熟知し、治療内容や抗がん剤の使用に伴い発生しうる副作用等に関する患者への事前説明と同意の取得に努めるべきであること。
- なお、別記の抗がん剤併用療法等に関する有効性及び安全性の根拠情報については、厚生労働省のホームページに掲載することとしております。
- 第2 技能の向上について
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- 抗がん剤の併用療法等においては、毒性が強い医薬品である抗がん剤等の組合せが行われること等から、副作用による死亡等の発生を完全に防ぐことは困難であります。よって、有効性及び安全性に係る一定の根拠情報があったとしても、単に国外での用法・用量に従うのではなく、個別の患者の状態にあわせた使用量の調整等を行った上で適切に使用する必要があります。
- このような抗がん剤の併用療法等の特性を踏まえ、貴学会におかれても、その適正使用の確保のため、当該併用療法等を行う医師等の医療関係者に対し、専門的な知識・技能を修得する講習会などの機会の提供を行うようお願いします。
- 第3 実態の把握について
-
- 別記の抗がん剤併用療法等については、国外での使用に関する有効性及び安全性に係る根拠情報が文献等で十分に公表されていますが、国内での使用実態については必ずしも十分に公表されている状況ではありません。
- よって、使用実態に基づき、副作用の発生頻度などの正確な安全性等の評価が可能となるように、貴学会におかれても、抗がん剤の併用療法等を行う中核的な医療機関における使用状況(レジメン)及び使用患者数等の把握に努めるようお願いします。
- また、このような実態の把握は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び関係企業による解析及び評価を行う上で非常に重要であるため、当該解析及び評価に関するご協力もあわせてお願いします。
(関係企業連絡先)
- 塩酸ドキソルビシン
協和発酵工業株式会社 Tel.03-3282-0069(医療品情報センター)
- イホスファミド
塩野義製薬株式会社 Tel.06-6458-5861(医薬安全管理部)
- エトポシド
日本化薬株式会社 Tel.03-3237-5151(薬制部)
ブリストル製薬有限会社 Tel.03-5323-8385(市販後調査室)
- シスプラチン
日本化薬株式会社 Tel.03-3237-5151(薬制部)
ブリストル製薬有限会社 Tel.03-5323-8385(市販後調査室)
マルコ製薬株式会社 Tel.052-524-2371(安全管理部)
メルク・ホエイ株式会社 Tel.06-6252-6856(製品開発室)
ファイザー株式会社 Tel.0120-66-4467(お客様相談室)
- 硫酸ビンクリスチン
日本化薬株式会社 Tel.03-3237-5151(薬制部)
- リン酸デキサメタゾンナトリウム
万有製薬株式会社 Tel.0120-024-961(情報サービスセンター)
日本オルガノン株式会社 Tel.06-6347-9761(医薬安全調査部)
富士製薬工業株式会社 Tel.076-478-0032(医薬情報課)
- デキサメタゾン
万有製薬株式会社 Tel.0120-024-961(情報サービスセンター)
大洋薬品工業株式会社 Tel.052-205-5006(安全性調査室)
東洋ファルマー株式会社 Tel.0763-82-3151(安全管理部)
- フルオロウラシル
協和発酵工業株式会社 Tel.03-3282-0069(医療品情報センター)
- 塩酸プロカルバジン
中外製薬株式会社 Tel.03-3273-0981(安全性情報部)
- レボホリナート
ワイス株式会社 Tel.03-3561-6131(医薬情報部)
- カルボプラチン
日本化薬株式会社 Tel.03-3237-5151(薬制部)
ブリストル製薬有限会社 Tel.03-5323-8385(市販後調査室)
メルク・ホエイ株式会社 Tel.06-6252-6856(製品開発室)
- アクチノマイシンD
万有製薬株式会社 Tel.0120-024-961(情報サービスセンター)
- エピルビシン
ファイザー株式会社 Tel.0120-66-4467(お客様相談室)
協和発酵工業株式会社 Tel.03-3282-0069(医療品情報センター)
- シクロホスファミド
塩野義製薬株式会社 Tel.06-6458-5861(医薬安全管理部)
- コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム
ファイザー株式会社 Tel.0120-66-4467(お客様相談室)
富士製薬工業株式会社 Tel.076-478-0032(医薬情報課)
沢井製薬株式会社 Tel.06-6921-4067(信頼性保証部安全管理室)
三共エール薬品株式会社 Tel.03-5821-6434(開発部)
(独立行政法人医薬品医療機器総合機構連絡先)
- 安全部医薬品安全課 Tel.03-3506-9435(直通)
(厚生労働省連絡先)
- 医薬食品局安全対策課 Tel.03-3595-2435(直通)
別記(下線は一部変更承認申請予定品目)
- (1) 乳癌に対するAC療法(ドキソルビシン、シクロホスファミド併用)に係るドキソルビシン、シクロホスファミドの用法・用量の変更
- (2) 骨・軟部腫瘍に対するイホスファミド、ドキソルビシンの効能・効果の追加
- (3) 悪性骨腫瘍に対するシスプラチンの効能・効果の追加
- (4) 小児固形癌に対するイホスファミド、ドキソルビシン、エトポシドの効能・効果の追加
- (5) 子宮体がんに対するAP療法(シスプラチン、ドキソルビシン併用)に係るシスプラチン、ドキソルビシンの効能・効果の追加及びドキソルビシンの用法・容量の変更
- (6) 悪性リンパ腫に対するシスプラチン、コハク酸メチルプレドニゾロンを含む化学療法の効能・効果の追加
- (7) 骨髄腫に対するVAD療法(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン併用)に係るビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンの効能・効果の追加及びドキソルビシンの用法・用量の変更
- (8) 頭頸部がんに対するフルオロウラシルの用法・用量の変更
- (9) 脳腫瘍に対するプロカルバジン、ビンクリスチンの効能・効果の追加
- (10) 大腸がんに対するフルオロウラシル、アイソボリン併用療法に係る用法・用量の変更
- (11) 小児悪性固形腫瘍に対するシスプラチン、カルボプラチンの効能・効果及び用法・用量の変更
- (12) ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、ウイルムス腫瘍及びその他の腎原発悪性腫瘍に対するアクチノマイシンDの効能・効果及び用法・用量の変更
- (13) 乳癌に対するEC療法(エピルビシン、シクロホスファミド併用)及びCEF療法(エピルビシン、シクロホスファミド、フルオロウラシル併用)に係るエピルビシン、シクロホスファミドの用法・用量の変更
- (14) 抗悪性腫瘍薬投与に伴う消火器症状(悪心・嘔吐)に対するデキサメタゾン、リン酸デキサメダゾンの効能・効果及び用法・用量の変更