日本癌学会は、第77回日本癌学会学術総会特別企画で、「持続可能な最善のがん医療を実現するための医療費制度とは?」と題して、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会のがん関連学会の各理事長による3題の基調講演に加え、学会、大学、製薬企業、一般病院、行政、患者団体、メディア関係からの代表10 名の討論者、及び特別発言者に参加をいただき、標題に掲げるテーマで活発な議論を行った。その内容を踏まえ、我が国における最善のがん医療を持続的に提供できる体制構築に向けた国家的戦略の重要性と、そのための緊急かつ継続的な議論の必要性について、本癌学会「大阪宣言2018」として広く社会に公表し、関係者一同この基本方針に沿って努力することを宣言する。
日本の人口は減少傾向にあるが、人口に占める高齢者の割合は増加を続けており、がん患者も当面は増加することが想定されている。ヒトゲノムの解明、新薬、新規治療法の開発により、がんの治療成績は着実に向上しているが、これらの実用化に伴い、がん医療のための医療費も着実に増加している。
このような社会的背景の中で持続可能ながん医療を支えていくには、我が国のがん医療の研究開発、提供、受給の現状において多くの課題が存在しており、課題解決への議論に向けた国民的な合意が求められる。
その他、がん予防やがん患者の社会との共生についての認識も国民に十分に共有されているとは言えない。これらの諸問題についての議論を通じて、持続可能な最善のがん医療を実現するための医療費制度についての国民的な合意形成を図っていく。
2018年9月27日
日本癌学会 理事長:中釜 斉
第77回日本癌学会学術総会 学術会長:森 正樹