平成22年10月22日
日本癌学会理事長 | 野田哲生 |
日本がん免疫学会理事長 | 今井浩三 |
朝日新聞の「臨床試験中のがん治療ワクチン」記事(2010年10月15日、16日)には、東京大学医科学研究所で開発した「がんワクチン」を用いて同附属病院で行われた臨床試験に関して、大きな事実誤認に基づいて情報をゆがめ、読者を誤った理解へと誘導する内容が掲載されました。
その結果、ワクチン治療を受けておられる全国のがん患者さんに無用なご心配をおかけするとともに、今後の新たながん治療開発に向けた臨床試験に参加を希望される、多くのがん患者の皆様にも、多大なご迷惑をおかけする事態となっております。また、この記事は、がん患者さんに、より有効な治療を提供するべく懸命に努力している医療関係者、研究者、学生の意欲を大きく削ぐものであり、この分野での我が国の進歩に大きなブレーキをかける結果を招きかねません。
より良いがん治療の提供を最大の目的として設立され、活動を続けている学会としては、このような記事を容認することはできません。ここに朝日新聞に対して強く抗議するとともに、速やかな記事の訂正と患者さんや関係者に対する謝罪を含めた釈明を求めます。